SARS対策の初動に機敏な対応を見せた世界最大の感染症対策機関・CDC。国際的な連携も進めるその態勢づくりには、9.11の教訓も生かされた。だが再び予想される「Xデー」に備え、真価を問われるのはこれからだ。 二月二十一日、例年以上に厳しい寒さが続いたワシントンの米厚生省の本館。六階のトンプソン長官室に、幹部の一人が中国・広東省で起きている「異変」について報告のために飛び込んできた。「アトランタの専門家は事態をかなり深刻に受け止めています」。米政府が新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)の対応に動き始めたのは、この時からだった。「アトランタ」とは、米厚生省の傘下にある世界最大の感染症対策機関、米疾病対策センター(CDC)を指す。米国だけでなく世界のSARS対策は、いまやCDCの存在を抜きにして考えることはできない。

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