昨年の暮れは家族そろって流感に罹り、正月料理の準備どころではなかった。見かねた隣人の主婦メアリーが、アメリカ南部の正月の「縁起もの」を我が家のために持ってきてくれた。ホッピン・ジョンという「ささげ豆」の煮込み料理で、白いご飯の上にかけて、お好みでタバスコ等で辛くして食べる。脂っこくない素朴な味とスパイシーな味付けは食欲を刺激し、病気で弱った我々日本人の胃にも優しかった。 アメリカでは、感謝祭やクリスマスには家族が揃い七面鳥の丸焼きなどの豪華なディナーを食べるが、正月はほとんど何の風習もない。しかし、このホッピン・ジョンは、正月に家族揃って食べるとその家に福を呼び込むという言い伝えがあり、アメリカ南部の正月料理として生き残っている。
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