饗宴外交の舞台裏 (165)

米とイランが呉越同舟したジャクソン・ポロック展

執筆者:西川恵 2012年2月27日

 現在、東京国立近代美術館でジャクソン・ポロック展(2月10日-5月6日)が開かれている。生誕100年、いまも絵画の世界に多大な影響を与え続けているアメリカン・アートの巨匠だが、世界から集められた作品の充実ぶりもさることながら、興味深いのは展覧会での米国とイランの呉越同舟だ。
 ポロックは1912年に中西部ワイオミング州に生まれ、1956年に飲酒運転による自動車事故で44歳で亡くなった。床に広げたキャンバスに塗料を流し込み、刷毛などで叩きつけるように塗料を撒き散らすポーリングの技法で知られる。ピカソのキュービスムを中心としたそれまでの現代絵画の潮流を超えた新しい抽象表現主義を決定づけた画家として位置づけられている。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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