ぼくのソウルでの記者生活は二十年以上になるが、いつも感じている欲求不満がいくつかある。その最大のものはこの地のことを、なかなか全体として伝えられないことだ。つまりソウル駐在の記者として、できるだけ韓国や朝鮮半島の全体像を読者に伝えたいと思うのだが、ままにならないのだ。 記者はニュース稼業であるため、どうしても日々の出来事に追われる。ニュースというとやはり政治や外交を中心にお硬い話がほとんどだ。その結果、そうしたお硬いニュースだけでその国を伝えることに、いつも内心忸怩たるものがある。 それでも、こうした欲求不満を解消するためぼくなりの工夫と努力をしてきた。たとえば紙面では時間に追われないコラムに結構、気を使っている。コラムを通じた多様な情報の提供というわけだ。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン