アルストムが注目する三菱グループの「中国コネクション」

執筆者:Foresight 2004年8月号
エリア: ヨーロッパ アジア

 経営難に陥っているフランスの重電・輸送機器大手アルストムを、フランス政府が公的資金投入などにより救済する計画が七月八日、欧州連合(EU)の欧州委員会から承認され、九日の同社株主総会で正式に決まった。仏政府の出資比率は三割を超え、国策会社の色彩が強まる。 アルストムは仏新幹線(TGV)や豪華客船を建造する欧州の代表的企業。韓国にも新幹線車両を納入するなど、日本やアジアとも無縁ではない。そればかりか、類似の事業分野を持つ三菱重工業などとの合併・買収(M&A)の観測も出始めた。 今回の救済策に欧州委は厳しい条件をつけた。欧州のライバル企業が不利益を被らないようにするためだ。具体的にはスペイン、オーストラリアなどでの鉄道・輸送機器関連を含む約十五億ユーロ相当の事業売却と、四年以内のエネルギー、輸送部門における「長期的かつ構造的な」提携、つまり他社とのM&Aの実施を義務付けた。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f