ユーロ圏の経済が一体化してこそのECB(欧州中央銀行)。「全体」を優先する政策に独仏などが反発し、その独立性が脅かされる事態に――[フランクフルト発]二〇〇二年一月に欧州で単一通貨ユーロが流通し始めて二年半余り。ユーロ導入十二カ国は最大の経済主権ともいえる通貨発行権を放棄、欧州中央銀行(ECB)が唯一の「通貨の番人」となった。 ところがここへきてユーロ圏域内の物価上昇率や成長率の格差が拡大、ECBの金融政策を巡る各国政府の不協和音が響き始めた。ユーロ高に象徴される「EUの成功」とは裏腹に、「成熟地域」の色彩を強めるドイツ、フランスなど大国のいらだちは募る一方だ。域内格差の拡大は、ECBの存在そのものを揺るがしかねないところまで来ている。
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