原発大国フランスにも及ぶ「脱原発」の波

サルコジ大統領は強気だが……(C)EPA=時事
サルコジ大統領は強気だが……(C)EPA=時事

 欧州随一の「原発大国」フランスが、フクシマ・ショックで大揺れだ。電力の8割が原子力という国で、「脱原発」を望む国民が77%に達した。一方、サルコジ大統領は脱原発はおろか「最新鋭の原発を開発し、世界に売り込む」構えだ。左派の野党側は世論に敏感に反応しており、来年春の大統領選では、この国ではこれまで考えられなかったことだが、原発政策が争点に浮上している。  6月初めのジュルナル・ディマンシュ紙の世論調査は、福島原発事故の影響がくっきり出た。フランス人は現実的だから、「すぐにもやめろ」と主張するのは6分の1以下で、「25-30年かけて」が圧倒的多数派だ。だが、事故前は国民の過半数が常に原発を支持してきたことを考えれば、変化は明白だ。6月半ばにはパリのど真ん中、市庁舎広場で数千人が反原発デモを行なった。極めて異例のことだ。

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執筆者プロフィール
三井美奈(みついみな) 1967(昭和42)年、奈良県生まれ。産経新聞外信部編集委員。一橋大学社会学部卒。読売新聞ブリュッセル支局員、エルサレム支局長、ハーバード大学日米関係プログラム客員研究員などを経て、2011~15年パリ支局長。2016年10月から現職。著書に『安楽死のできる国』『イスラエル―ユダヤパワーの源泉―』『イスラム化するヨーロッパ』など。
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