“実力者”パンサックの復活で視野に入った「タクシン帰国」

執筆者:樋泉克夫 2012年7月13日
タグ: タイ インド 日本
エリア: アジア

 タイのインラック政権は、“海外亡命中”のタクシン元首相の本格帰国に向けて舵を切ったようだ。というのも7月3日の閣議でパンサック・ウィンヤラット(1943年生まれ)を首相首席顧問(政策担当)に任命したからである。
「元ジャーナリスト」「影の実力者」などと紹介されることが多いパンサックだが、1970年代半ば以降、ことに80年代末期から現在まで歩いてきた道を辿ってみれば、彼が単なるジャーナリストでも影の実力者でもなく、タイの政治舞台における脚本家兼演出家であり、時には主役ですらあったことが判るだろう。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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