資源ブーム終焉で総合商社に再び訪れる「冬の時代」

執筆者:新田賢吾 2012年12月25日

 

 資源で我が世の春を謳歌してきた(三井物産が権益を持つポーランドのシェールガス試掘施設)(c)時事
資源で我が世の春を謳歌してきた(三井物産が権益を持つポーランドのシェールガス試掘施設)(c)時事

 総合商社の歴史を振り返れば、過去10年はそれまでにない驚異的な膨張の時代だったといえるだろう。トップの三菱商事で言えば、最終利益が20083月期には4713億円と5000億円に迫る水準となった。最盛期のトヨタ自動車が最終利益で2兆円をたたき出したことがあったが、本社の従業員数が6000人足らずで、自らは付加価値は生んでも、モノをつくり出すことのない企業の利益としては信じがたいほどの水準だ。唯一無二の要因は資源である。三菱だけではない。三井物産、伊藤忠など総合商社は過去10年、石油、天然ガス、鉄鉱石、石炭、銅など非鉄金属の開発・生産、いわゆる資源の上流部門が生み出す莫大な利益で我が世の春を謳歌してきた。だが、今、資源の需給構造が変わる兆しをみせ、資源価格は下落の道をたどり始めた。総合商社には再び経営の転換点が迫りつつある。

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