移民大陸・欧州に学ぶ 外国人犯罪者急増にオーストリアが立てた「奇策」

執筆者:北村隼郎 2004年11月号
エリア: オセアニア

人口流入の増加は、刑務所も定員超過にしてしまった。ついにオーストリア政府は犯罪者の“逆輸出”に踏み切ることに――[ウィーン発]外国人犯罪者の増加に悩む中欧のオーストリアが奇想天外な対策に乗り出した。同国で逮捕されるルーマニア人犯罪者の急増を受け、オーストリア政府の資金でルーマニアに刑務所をつくり、受刑者を「輸出」しようというのだ。一見、突飛な試みにも見えるが、スイスやドイツに加え日本政府までが強い関心を示し始め、同様の動きが広がる可能性が出てきた。 ウィーン旧市街の一角にある市庁舎。冬のクリスマス市など四季折々にさまざまな催し物の舞台となるウィーン屈指の観光名所であるこの市庁舎のすぐ裏手に、約千二百五十人もの受刑者(一部は未決囚)を収容するヨーゼフシュタット刑務所があることは、この街に長く住んでいても知らない人が多い。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top