「対北宥和」しかない中国の「戦略的手詰まり」

執筆者:伊藤正 2005年4月号
エリア: アジア

いかに北朝鮮に振り回されようとも、中国は「話し合いによる平和解決」を唱え続ける。その内実は――。[北京発]毎年三月、北京は政治の季節になる。年に一度の全国人民代表大会(全人代)と全国人民政治協商会議(政協)が開かれるためだが、そこで審議される各種報告や法案に、台湾の独立阻止を目的にした反国家分裂法が加わった今年は、例年以上に国際的な注目を集めた。武力行使権を規定した同法は、台湾海峡の緊張を高めるとみられていたからだ。 全人代開幕の約二週間前、ワシントンで開かれた日米安全保障協議委員会(2+2)が台湾問題の平和解決を「共通戦略目標」の一つにしたのも、中国の国防力増強が続くなかで、反国家分裂法が浮上したことへの警戒心を表したものだった。

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