「廃炉」で訴訟される三菱重工――「原発輸出」のリスクとは

執筆者:安西巧 2013年7月31日
 廃炉が決まったサンオノフレ原子力発電所 (C)AFP=時事
廃炉が決まったサンオノフレ原子力発電所 (C)AFP=時事

 安倍晋三首相が熱心に推進している「原発輸出戦略」が早くも揺らぎ始めた。震源地は米カリフォルニア州にあるサンオノフレ原子力発電所。昨年1月、三菱重工業が製造した蒸気発生器の配管で異常な摩耗が発生して原子炉が緊急停止、米原子力規制委員会(NRC)が稼働を禁じる事態に発展した。運営主体の南カリフォルニア・エジソン社(SCE)は今年6月7日に2つの原子炉の再稼働を断念して廃炉を決定、7月18日には原発停止で生じた損害の全額賠償を三菱重工に求める方針を公表した。現地メディアは請求額が数十億ドル規模になると報じており、東京証券市場では三菱重工の株価が急落している。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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