「デモ黙認」を許可した温家宝、慌てた胡錦濤

執筆者:藤田洋毅 2005年6月号
エリア: アジア

唐家セン国務委員らの提言を受けデモを容認した温首相は、明らかに誤算していた。ただならぬ事態に、胡総書記は――。「わが党の外交史に大きな汚点を残しました。一九六七年、九九年とあわせ『三大恥辱』と表現する同僚もいます。私も同意します」 中国共産党中央の幹部がいった。四月二日の四川省成都を皮切りに、三週間にわたり週末ごとに中国で繰り広げられた反日デモは、ついに北京の日本大使館や大使公邸、上海の総領事館に対する暴徒騒ぎに拡大した。幹部は、文化大革命中の六七年に紅衛兵らが英代理大使館事務所を焼き討ちした事件、九九年にユーゴの中国大使館への「誤爆」に反発した学生らが米大使館に石や火炎瓶を投げ入れた事件と並べた。

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