「意欲と能力のある農家だけに直接助成を」。そんな大改革におののいた農協と政治家が「抜け道」をひねりだし、改革は逆の方向へ――。 この冬、農村の関心は、「農地解放に次ぐ戦後最大の農政改革」と呼ばれる「日本型直接支払いの導入」の一点に集中している。新年度から始まる新しい補助金制度の運用は、二〇〇七年四月の統一地方選と七月の参院選に大きく影響する。 * これまで日本の農業の中で最も手厚い保護を受けてきたのは、コメなどの土地利用型農業だ。「一戸当たりの耕地面積が狭く国際競争力がない」という農業経済学者の分析は、「経営規模の拡大」を目指す政策を後押しする半面、土地利用型農業の「保護」も正当化してきた。

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