インテリジェンス・ナウ

仏情報機関長官が警戒した「ハイブリッド型テロ」が起きた

 フランスの2015年1月は、パリの風刺週刊紙シャルリエブド襲撃などの連続テロ事件で幕を開けた。あの時は、計17人の犠牲者を出したが、追悼デモにフランス全土で計370万人もの人々が参加してテロに対する市民の団結姿勢を示し、パリのデモではメルケル・ドイツ首相ら欧州首脳も隊列に加わった。その後パリで、イスラム過激派への対応策を協議する緊急閣僚会合も開かれた。
 あれから10カ月余、その教訓が生かされず、今度の同時テロでは500人近い死傷者を出す未曾有の事件となった。しかし、オランド仏大統領が、「これは戦争行為だ」と言葉で非難するだけで、具体策など打ち出せず、ただ強烈な衝撃に圧倒された形だ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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