国内政治に翻弄された外交:米中対立の東アジアに「独自性」を構想できるか

執筆者:星浩 2021年9月13日
エリア: アジア 中東 北米
ブッシュ米大統領(当時)との関係は、小泉氏の国内政治基盤を強化することにもつながった ⓒAFP=時事
アメリカが対テロ戦争に軸足を置く中で、この20年――特にブッシュ‐オバマ政権下では、日本独自の東アジア外交が浮上した局面が幾度かあった。しかしその間、「アメリカ抱き付き」と「離米」の両極を揺れ動いた日本政治は、外交現場のチャンスメイクを生かせずに終わっている。中国との大国間競争にアメリカが大きく舵を切り直す今、日米同盟を固めつつ対中政策を展開する「独自性」の必要はこれまで以上に高まっている。

 個人的体験から始めたい。

 2003年4月9日。朝日新聞の政治担当編集委員だった私は、東京・築地の朝日新聞本社6階の編集委員室でテレビ画面を見つめていた。米軍がイラクに侵攻したというニュースを聞いたからだ。テレビは現地の映像を伝えていた。米軍の兵士が次々と首都・バグダッドに入り、サダム・フセインの巨大な銅像が倒されるシーンが繰り返し流された。イラク側の抵抗の様子はなく、街にはイラク兵の姿も見えない。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
星浩(ほしひろし) 1955年福島県生まれ。政治ジャーナリスト。79年東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、自民党、外務省などを担当。ワシントン特派員、政治部デスクなどを経て編集委員、オピニオン編集長、特別編集委員。2016年、退社しTBS系「NEWS23」キャスター、コメンテーター。04-06年、東京大学大学院特任教授。主な著書に『自民党と戦後』『官房長官 側近の政治学』『永田町政治の興亡 権力闘争の舞台裏』など。
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