インテリジェンス・ナウ

米中・米露の軍トップ間に存在する「ホットライン」:「トランプ暴走」阻止で表面化

執筆者:春名幹男 2021年10月25日
エリア: アジア 北米
9月28日、米上院軍事員会の公聴会で、中国軍部への電話の事実を認めたミリー米統合参謀本部議長 (C)EPA=時事
「文民は戦争を欲し、軍人は平和を望む」とよく言われる。米軍トップが中国に「攻撃の意図なし」と伝えたことが大問題になったが、それは「通敵」のためではなかった。その意図の裏にあった文民暴走への危機感とは。

 米軍トップが中国に「米国が中国を攻撃する意図はない」と伝えていた――今年9月中旬、日本の新聞にそんなニュースが掲載された。

 

『ワシントン・ポスト』のボブ・ウッドワード記者らが新著『危険(原題Peril)』でその新事実を明らかにした、というのだが、報道だけでは要領がさっぱり掴めなかった。

 予約注文した本がようやく届き、急ぎ読んで、驚いた。予測不可能なドナルド・トランプ米大統領(当時)の危険な「暴走」を阻止するため、米中の軍トップ同士、そして米軍と議会首脳との間で、危険な事態への対応策をめぐり息詰まるドラマが進行していた。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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