混迷を深めるイラク:サドル師「引退表明」の狙いは何か

IN-DEPTH【ニュースの深層】

2022年9月1日
カテゴリ: 政治
エリア: 中東
絶大な影響力を持つサドル師(C)AFP=時事
 
昨年10月の総選挙以降、政治・宗教指導者サドル師の一派と親イランのシーア派諸派の対立により政治が空転しているイラクで、サドル師が引退を表明。支持者が政府庁舎に侵入し、衝突に発展する事態に。この混迷はどこへ向かうのか。

 イラクが一層と混迷を深めている。

 8月29日、イラクの有力な政治・宗教指導者であるムクタダー・サドル師が政治活動からの引退を唐突に発表した。首都バグダードでサドル師の支持者が議会での座り込みを続け、約1カ月もの間、立法府を機能不全に陥らせていた最中のことである。

 サドル師の引退表明を受け、議会で座り込みを続けていたサドル支持者は首相府等の複数の政府庁舎にも侵入、これを排除する政府の治安部隊や、サドル派と対立する民兵勢力と衝突になった。衝突は一部で銃撃戦に発展したようであり、30名が死亡、数百名が負傷したと伝わっている。

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