Weekly北朝鮮『労働新聞』 (19)

今もなお朝鮮戦争「北侵」を主張し「米帝」連呼(2023年6月25日~7月1日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年7月3日
エリア: アジア 北米
北朝鮮にとっては今なお、「米帝」マッカーサー連合国軍最高司令官(左)と「傀儡」李承晩韓国大統領(右)による「北侵」こそが、朝鮮戦争なのだ
世界の通説となった朝鮮戦争「南侵」勃発説だが、北朝鮮は依然として「北侵」を主張し、開戦日の紙面では「米帝」を連呼した。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 朝鮮戦争が勃発した6月25日は、「米帝反対闘争の日」とされる。同日付の1面トップには、「祖国守護精神」を主題に、1950年代の朝鮮戦争を戦った兵士たちと人民を称えた論説が掲載された。「最も大きな国難に直面して、最も大きな勇気を発揮し、最も大きな勝利と栄誉をもたらした戦勝世代」を称賛しつつ、その「子孫らしく」生きることを自国民に訴えたものだ。続く第2面では、「米国の奴らは朝鮮人を見誤った」と題して、北朝鮮の力強さを見くびったからこそ米国は「侵略戦争」に失敗したのだと論じている。……

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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