霞が関の主な省庁の事務次官などの人事が出そろった。
国土交通省
国土交通省は藤井直樹事務次官(62歳/1983年運輸省入省)の後任に、和田信貴国土交通審議官(59歳/87年建設省入省)が昇格した。省庁再編で建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁が一緒になって誕生した同省は、次官を旧建設省の事務官と技官、旧運輸省事務官の出身者が、ほぼ1年ごとに交代する人事で回している。今回は旧建設省事務官の番だった。
同省では元事務次官(旧運輸省出身)が空港設備事業を手掛ける東証プライム上場の「空港施設」の人事に介入した問題が浮上した。その後、人事介入問題に関連して調査が行われた結果、航空局長が利害関係のある事業者から飲食の接待を受けるなど国家公務員倫理規程違反があったことが判明、局長は戒告の懲戒処分の後、辞任した。こうした中でも、人事の慣例を踏襲した形だ。国交省では2021年にも統計の不正処理が判明するなど不祥事が相次いでいる。従来通りのトップ人事では「信頼を回復できないのではないか」という疑問符がつきまとう。
経済産業省
経済産業省では多田明弘事務次官(60歳/86年通産省入省)と平井裕秀経済産業審議官(59歳/87年通産省入省)が退任し、後任にそれぞれ飯田祐二経済産業政策局長(60歳/88年通産省入省)と保坂伸資源エネルギー庁長官(60歳/87通産省年)が就任した。
新しい次官の飯田氏は1988年通産省入省、ナンバー2の経済産業審議官に就任する保坂氏よりも年次で言えば1年若い。異例の「年次逆転」人事について、西村康稔経産相は閣議後の記者会見で「政策の継続性と新陳代謝の両立を進める。年次や職種にとらわれない適材適所の人事だ」と説明した。
岸田文雄政権は23年度から10年間で20兆円規模のGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債を発行する。まさに乾坤一擲の政策だが、飯田氏はその立案過程で中心的な役割を果たしたとされる。今回の「年次逆転」人事の背景には、……
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