[D]Donald again?:バージョンアップした米国第一主義と保護主義で復活?
2024年は辰年。英語の「DRAGON」の頭文字で、24年の課題を整理してみよう。
最初のD。「Donald again?」はいうまでもなく11月5日の米大統領選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が復活する可能性である。可能性といっても、一縷の望みといった程度ではなく、相当に高いことを確認しておかないといけない。米政治サイトのReal Clear Politics(RCP)で「バイデンvs.トランプ」で戦われた場合の両者の支持率はこうなる。
23年12月8日から24年1月9日までの世論調査の平均では、トランプ46.0%、バイデン44.8%。現職のジョー・バイデン大統領が1.2ポイントの後塵を拝している。トランプ氏が人気を博しているというより、バイデン氏があまりに不人気なのだ。24年1月9日までのRCPによる集計では、大統領に対する支持率39.9%、不支持率57.0%。支持率が不支持率を17.1ポイント下回る。
3月にも訪米する岸田文雄首相が用意すべき励ましの言葉は「下には下があります」かもしれない。それにしても大統領選を控えたバイデン氏にとって深刻なのは、時の経過とともに支持率と不支持率の差が広がっていることだ。「相手がスネに傷あるトランプ氏でなかったら、大敗を喫しかねない」。これがバイデン陣営の胸の内だろう。
トランプ前大統領が在任中に一族のビジネスを通して外国政府から780万ドル(約11億円)以上を受け取っていた。そんな調査資料を米下院民主党が突きつけたのは、スネの傷を突くための戦術のひとつ。合衆国憲法は大統領が議会の了承を得ずに外国政府から贈与や報酬も受け取ることを禁じている。これに違反しているというわけだ。
中国から合計約557万ドルの支払いを受けたのを筆頭に、サウジアラビアから約62万ドル、カタールから約47万ドル、クウェートから約30万ドル、インドから約28万ドルといった具合だ。普通の政治家ならこれでアウトだろう。でもトランプ氏は反論するに違いない。ビジネスと政治は別。何が悪いのだ、と。
あるいはトランプ氏の支持者は、ハラの中でこう思っているはずだ。敵対する中国からこれだけみかじめ料をとれるのだから、大したものだ。バイデン政権の下でグリップが効かなくなったグローバル・サウスの国々もトランプ氏の威光には逆らえなかったではないか、と。バイデン氏が21年1月のトランプ氏支持者による議会乱入を非難しても、すれ違いだろう。
[G]Gaza:溶融するバイデン大統領の支持基盤
ここにG。ガザ地区(Gaza Strip)でのイスラエルとハマスの衝突が絡む。……
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