平和に必要な「理解」以上の何か

Foresight World Watcher's 6Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2024年4月13日
エリア: アジア
「日本をより中心に据えるための新たな方法」の模索が始まる[2024年4月11日、アメリカ・ワシントンDC](C)EPA=時事

 今週もお疲れ様でした。2015年の安倍晋三首相以来、9年ぶりの国賓待遇での訪米となった岸田文雄首相の連邦議会上下両院合同会議での演説は、日本の価値と役割を強く打ち出すものになりました。たとえば、演説中の「And yet we also know that peace requires more than understanding. It requires resolve.(しかし、今の私たちは、平和には「理解」以上のものが必要だということを知っています。「覚悟」が必要なのです。)」との言葉に、その重みが宿ります。

 しかし、「resolve」に基づく日米関係とは、具体的にどのような形をとるのでしょうか。アメリカを中心として各国が二国間で安全保障体制を築くアジアの「ハブ・アンド・スポーク」システムは、日米同盟がハブとなる形に作り替えられるべきだと、米ランド研究所上級研究員のジェフリー・ホーナンは提言します。中国という巨大な対抗者がいるアジアにおいて、「寄り添う」ことに止まらないバーデンシェアリングには緻密な戦略とコスト分析が欠かせません。

 フォーサイト編集部が週末に熟読したい海外メディア記事6本、皆様もよろしければご一緒に。

Is India Really the Next China?【Josh Felman, Arvind Subramanian/Foreign Policy/4月8日付・雑誌版春季号】

「世界最大の民主主義国」インドでは5年に1度の総選挙が4月19日から始まる(投票は地域別に7回に分けて行われ、開票の実施は6月4日)。これを契機とした記事が海外メディアで目立っている。

 たとえば、米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌は3月末発行の春季号でインド特集を組んでおり、記事7本は4月8日付で同誌サイトでも公開された。

 そのうちの1本、「インドは本当に次の中国なのか?」は、元IMF(国際通貨基金)インド事務所長のジョシュ・フェルマンと、印ナレンドラ・モディ政権で首席経済顧問を務めたアルビンド・スブラマニアンによるインド経済についての論考だ。

 彼らはモディ政権下で進んだインフラ(デジタルを含む)の急速な整備と製造業の振興を高く評価し、インドが今後、ITサービス輸出の高度化に加え、モノの輸出の強化(つまりは中国に続く「世界の工場」化)も実現させる可能性が低くないと予想。一方で、次のような懸念も示す。

「このような好材料があるにもかかわらず、インドが中国を駆逐すると宣言することにはまだ早い」
「問題のひとつは、インドがこれまでのところ、中国の相対的な経済衰退によって生まれた新たな機会のほんの一部しか活用できていないことだ。政府は『メイク・イン・インディア』という[主に外国メーカーを対象とした製造業振興]キャンペーンを断行したにもかかわらず、多くの企業にインドでの事業拡大を納得させるまでには至っていない」
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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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