イランはライシ大統領の死で変わるか否か
Foresight World Watcher's 5+4Tips
今週もお疲れ様でした。イランのエブラヒム・ライシ大統領らが事故死するというニュースで始まった1週間ですが、中東情勢の流動化が懸念された当初の衝撃が落ち着いてみれば、同国の外交方針に大きな変化はないとの見方が多数を占めているようです。ただし、最高指導者の後継候補選びを始めとして内政に新たな混乱要素を抱えるのも確実であり、それが保守強硬派の指導力に影響することも考えられます。
この問題については米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌から2本をピックアップしましたが、フォーサイトのオリジナル記事としても明朝(26日朝)に村上拓哉氏(中東戦略研究所シニアフェロー)の論考を公開します。リスク要因の評価や最高指導者ハメネイ師の息子・モジュタバのイラン国内での位置づけなど、注目ポイントが詳解されます。
フォーサイト編集部が週末に熟読したい海外メディア記事5+4本、皆様もよろしければご一緒に。
What Raisi’s Death Means for Iran's Future【Jack Detsch/Foreign Policy/5月20日付】
Raisi's Death Represents a Tipping Point for Iran【Ravi Agrawal, Karim Sadjadpour, Robin Wright/Foreign Policy/5月21日付】
「墜落現場が発見されるまでの数時間、濃霧が捜索・救助活動を妨げた。霧は非常に濃く、イラン側はヘリコプターの位置の特定に欧州連合[EU]の衛星の支援を要請せざるをえなかった」
「墜落したライシのヘリコプターを救助隊が捜索するなか、国営メディアはイラン国民に対し、彼のために祈るよう求めた。だが、墜落の報道を受け、一部のイラン人は祝賀の花火を上げ、強硬派の指導者の死に歓喜しているように見えた」
イランのエブラヒム・ライシ大統領がヘリコプター事故で死去した。冒頭の引用は、この事故を伝えるFP誌サイトの記事「ライシの死がイランの未来にとって意味するもの」(5月20日付)からのものだ(筆者は同誌の米国防総省・安全保障担当記者、ジャック・ディッチ)。
FP誌サイトには翌21日付で、編集長のラヴィ・アグラワルがイラン問題の専門家2名にインタビューした「イランの転換点を示すライシの死」も掲載された。米カーネギー国際平和基金の上級研究員、カリム・サジャドプールと、同ウィルソン・センターの特別研究員、ロビン・ライトは、ライシの死がイランに与える影響について、アグラワルからのさまざまな質問に答えている。……
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