イラン現体制を倒すのはミサイルか、市民か、外国による介入か

Foresight World Watcher's 4 Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2026年1月18日
イランの最高指導者ハメネイ師は米国とイスラエルがデモを扇動していると非難[2026年1月18日、イラン・テヘラン](C)AFP=時事/KHAMENEI.IR

 イラン全土に広がった政府へのデモはひとまず沈静化した模様です。ロイターの18日の報道によると、死者数は少なくとも5000人。これは近年で体制が最も強く揺らいだ2009年の大統領選挙抗議(グリーン運動)や、19~20年のガソリン価格引き上げ抗議、22~23年の「ヒジャブ」着用をめぐって警察に拘束された女性が死亡した事件への抗議をなど大きく上回るものであり、今回のデモの激しさを物語ります。

 同時に特筆されるべきは治安要員、つまり体制側の死者数の多さです。同じロイター記事によれば、これが約500人含まれているとのこと。つまり、デモが武装化されていたことが考えられます。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は、米国とイスラエルが騒乱を煽ったと非難していますが、武装化が外国勢力の関与によるものなのか、あるいは体制側の過剰な武力行使がデモの武装化を呼んだのか。ここは重要な焦点になると思われます。

 ドナルド・トランプ米大統領が「完全かつ全面的購入」を宣言し、欧州と米国の深刻な対立に発展しつつあるグリーンランド併合問題の“the day after”を考えようという記事も出始めました。欧州外交問題評議会(ECFR)のリサーチ・ディレクター、ジェレミー・シャピロ氏がフィクションの形で示したトランプ政権の奪取戦略「地理的浸透[geo-osmosis]」は、米国を中国に、そしてグリーンランドを台湾に置き換えて読むことも可能です。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディアからの4本。皆様もよろしければご一緒に。

What Next After Iran's Massacre?【Alireza Nader, Nik Kowsar/Foreign Policy/1月16日付】

「先週、イスラム共和国はイラン近代史上最大となる虐殺を実行した。政権に対する大規模な民衆抗議運動への対応として、同政権は数千人の非武装デモ参加者を殺害した。正確な犠牲者数は依然不明だが、信頼できる推計では1万2000人から2万人の死者が出たとされる。さらに多くの市民が銃撃戦に巻き込まれた」
「一部のアナリストや論評家は、直近の一連の出来事がイスラム共和国の終焉だと主張している。しかし、反体制運動や戦争、制裁によって政権は大きく弱体化したものの、それでもなおその回復力と冷酷さは証明されている。イランの反体制派は分裂しており、外国の介入は万能薬ではない」

 米「フォリーン・ポリシー(FP)」サイトに掲載された「イランの虐殺の後に続くのは何か?」は、イランの現状を読み解き、先を見通すのに有益なリポートであり論考だ。筆者は、当欄で前回紹介したFP誌サイトの「体制崩壊につながりかねないイランの通貨危機」(1月9日付)も手がけた、イラン・中東研究者のアリレザ・ナデルとジャーナリスト兼水問題アナリストのニック・コウサルだ。彼らは次のように読む。

カテゴリ: 政治
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