「ベネズエラの次」「中ロの“台湾・ウクライナ”を正当化」について踏まえたい論点

Foresight World Watcher's 12 Tips

オーストリア・ウィーンで行われたイラン政府に対する抗議デモ。参加者が米国に亡命中のイラン元皇太子レザ・パーレビの肖像をあしらったプラカードを掲げている。一方で、トランプ大統領は現状ではパーレビと距離を取り、イラン国内の反体制派も分裂している[2026年1月11日](C)AFP=時事

 米トランプ政権が踏み切ったベネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束・連行、そしてイランにおける市民の抗議活動の拡大などにより、2026年は波乱の中でスタートしました。年明けから10日ほどのうちに海外メディアでも大きな論点が次々と生まれています。

 ドナルド・トランプ大統領が「ベネズエラの次」にアクションを起こすのはグリーンランドかイランか、あるいはカナダさえもが対象か。この攻撃は中国にとっての台湾、ロシアにとってのウクライナにも“侵攻へのお墨付き”を与えることになるのだろうか。これらは当然、重要な問いです。そして、「法の支配」に基づく国際秩序を外交の基軸にする日本にとって、大国の「力による現状変更」が大きな試練なのも明らかです。

 日本は厳しい環境の中、独自外交の追求を迫られます。ただしその「独自性」とは、日本の安全保障と経済発展を可能にしてきた日米同盟を筆頭にする体系を、動揺する国際秩序の中で有効に機能させるべく、再構築することが出発点です。

 出発点には何が必要か。あえて単純な物言いをすれば、「トランプの“ドンロー主義”に世界が塗りつぶされて大変だ」で立ち止まることなく、世界の各国・各地域が抱える固有の論理とその必然性に、改めて目を凝らすことだと考えます。たとえばアメリカのベネズエラ攻撃を見た国が、「国際法を破る動機」を新たに得たと考えるのか、そもそも国際法を軽視しているところに「斬首作戦の態勢を手に入れる動機」を得たと考えるのかで、日本が検討すべき安全保障戦略は違ったものになるはずです。

 そうした意味では、地域研究の重要性が一層高まっていることも実感せずにはいられない、2026年の幕開きです。今回は「ベネズエラ攻撃が中国にとって意味するもの」「マドゥロ式襲撃を中国・ロシアが試みない真の理由」「アメリカのベネズエラ攻撃から中国・台湾が読みとる教訓」「グリーンランド取得の手段を検討するホワイトハウス」「アメリカからの脅威への備えを計画するカナダの軍」「体制崩壊につながりかねないイランの通貨危機」といった、踏み込んだ視点を備えた論考を意識的にピックアップしました。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディアからの12本。皆様もよろしければご一緒に。

[Politico Magazine]We Learned Something Fascinating About Trump's Foreign Policy This Week【Heidi Vogt/Politico/1月9日付】

 まずはベネズエラ関連から。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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