大きな問題、小さな問題

執筆者:名越健郎 2006年8月号
エリア: 中東

 アネクドートの世界で筆者の恩師だった作家・ロシア語通訳の米原万里さんが亡くなられた。米原さんと会う時はいつも緊張した。鋭い感性、辛辣な直言、頭の回転の速さと記憶力で圧倒される上、おかしなことを話すと後で何を書かれるか分からないからだ。 米原さんが話していたロシア式アネクドートの真髄は、「視点を一挙に相手側にずらす」「悲劇も喜劇も紙一重」「木を見てから森を見せる」「権威を笑い飛ばす」だった。 下ネタ用語や罵倒表現を多用する強烈な作風だった。最初で最後の長編小説となった『オリガ・モリソヴナの反語法』では「去勢ブタはメスブタにまたがってから考える」という奇怪な表現を用いた。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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