ウクライナ軍のクルスク越境攻撃は戦争終結につながるか

Foresight World Watcher's 7Tips

ウクライナによいる越境攻撃の前には「ロシアの攻撃が現在のペースを維持できるのはあと1~2カ月」との観測も出ていた[プーチン露大統領(左)とクルスク州知事アレクセイ・スミルノフのビデオ通話による遠隔会談=2024年8月8日、ロシア・モスクワ](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。ロシア・ウクライナ戦争が急展開を見せています。ウクライナ軍によるロシア・クルスク地方への国境を越えた侵攻は、戦況に大きな転換をもたらすのか。ウクライナ軍は欧州向け天然ガスパイプラインの主要な設備がある国境近くの都市スジャをほぼ制圧し、国境から約60キロの地点にあるクルスク原発の占拠も狙っているとの見方もあります。

 この越境攻撃と占領地確保を長期的に維持するなら、兵站確保など多くの難題が想定されます。それでもウクライナが思い切った行動に出た背景に、有利な戦況を作り出すことでロシアを和平協議に応じさせる思惑を想定しないわけには行きません。目下は戦況そのものについても詳しい情報が不足しており、海外メディアのアプローチも観測の域を出ませんが、戦争の行方を見通す上での基本的な論点は現時点でも概ね把握できるように思います。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事7本、皆様もよろしければご一緒に。

Ukraine surprises with a high-stakes raid into Russia【Economist/8月8日付】

Ukraine's Invasion of Russia Could Bring a Quicker End to the War【Andreas Umland/Foreign Policy/8月9日付】

「ウクライナが予想外にロシアのクルスク地方に国境を越えて侵攻してから3日目、その勢いは衰える気配を見せていない。8月6日の朝に作戦が開始されて以来、ロシアは少なくとも350平方キロメートルにわたる領土の完全な支配権を失っている。多数の兵士が死亡または捕虜となっている。前進を阻止し、ウクライナ軍の陣地構築を阻止しようと急いでいる」[引用その1]
「わずか4日間でロシア・ウクライナ戦争は劇的に変化した。ウクライナ軍の露クルスク地方への侵攻は、2022年秋のハリコフとヘルソンにおけるウクライナの反攻の成功以来、両国にとって最大の領土の争奪へと急速に発展した。この論考執筆の時点では、戦力が分散して準備も不足するロシア軍がウクライナ軍の進撃を食い止めることができたかどうかはまだ不明であり、ロシア軍の増援部隊が燃え盛る炎の列をなしているとの報道は、戦争の初期を思い起こさせる」[引用その2]

 ウクライナが突如、ロシアのクルスク地方への進軍を始めた。奇襲はこれまでのところ成功裡に進んでいるとされ、2年半近く続いてきた戦争が大きな展開を迎えるのではとの観測が広まっている。

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カテゴリ: 軍事・防衛
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