Weekly北朝鮮『労働新聞』
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ロシアのラブロフ外相が外国要人として初めて元山葛麻空港に到着(2025年7月6日~7月12日)

執筆者:礒﨑敦仁 2025年7月14日
タグ: 北朝鮮 ロシア
エリア: アジア
今後、元山・ウラジオストク間にチャーター便が就航する可能性も考えられる[飛行機から降りたロシアのラブロフ外相(中央)=2025年7月11日、北朝鮮・元山(ロシア外務省提供)](C)AFP=時事
中国と北朝鮮の同盟関係64周年を記念するレセプションが開催されたが、『労働新聞』での扱いは特段大きくなかった。ロシアとの包括的戦略パートナーシップ条約1周年を控えた5月に金正恩国務委員長自らロシア大使館で演説したのとは対照的だ。7月11日にはロシアのラブロフ外相が外国要人として初めて元山葛麻空港に降り立った。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

 7月8日付1面トップは、故・金日成(キム・イルソン)主席死去31年に際して、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を訪問したことについて報じた。掲載写真では多くの随行者が確認できるが、記事では、朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会委員として朴泰成(パク・テソン)、崔龍海(チェ・リョンヘ)、趙甬元(チョ・ヨンウォン)の三氏だけが紹介された。

 6月21日から23日にかけて開催された党中央委員会第8期第12回全員会議拡大会議では、雛壇の最前列に金正恩とこの三氏のほか、李煕用(リ・ヒヨン)党中央委員会書記の着席が確認できたことから、同氏が常務委員会入りした可能性について本欄で触れていたが、それは誤りであったものと思われる。

 7月10日付第4面には、「朝中友好協力及び相互援助に関する条約」、いわゆる中朝同盟の64周年を記念して在北朝鮮中国大使館でレセプションが開催されたことについての記事が掲載された。北朝鮮側の筆頭参加者は、姜潤石(カン・ユンソク)最高人民会議常任委員会副委員長である。ロシアとの包括的戦略パートナーシップ条約1周年に際しては、金正恩自らがロシア文化相の訪朝を歓迎し、5月にはロシア大使館で演説を行ったことに鑑みると、中朝関係は霞んだままに映る。

 7月11日から13日にかけてロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が訪朝した。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治外交。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、『北朝鮮を読み解く』(時事通信社)、共著・編著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)、『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)など。
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