肥満症の救世主「GLP-1受容体作動薬」——経口薬が主流に? 「中外製薬」「リリー」が挑む新薬開発|小野啓・千葉大学予防医学センター教授(2)
長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、参入企業、経口薬や複数のホルモン受容体作用薬の開発などについて、千葉大学予防医学センター教授の小野啓氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
現在の市場は「ノボ」と「リリー」の二強状態
——肥満症治療薬市場にはどのような企業が参入していますか。
「GLP-1受容体作動薬に限定すると、既に承認を受けているセマグルチド(商品名:ウゴービ)はデンマークに拠点を置くノボノルディスク社(以下、ノボ)、チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)は米・イーライリリー社(以下、リリー)が開発、販売をしています。市場は、両社の二強状態という印象を受けます」
「またリリーと中外製薬は、経口での服用が可能なオルフォルグリプロンを開発中です。2025年末には、体重管理用途でFDA(アメリカ食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)、日本のPMDA(医薬品医療機器総合機構)などに承認申請を、2026年には2型糖尿病治療用途でFDAに承認申請を行う予定です1」
「経口薬という観点では、経口セマグルチド(商品名:リベルサス)が既にノボから販売されています。ただ、今のところ日本では肥満症治療薬ではなく糖尿病治療薬としてのみ、承認を受けているという状態です」
——経口セマグルチドが今後、肥満症治療で承認される可能性はありますか。
「もちろんあります。オルフォルグリプロンや経口セマグルチドが承認され、抗肥満薬が注射ではなく経口が主な服薬方法となる可能性は極めて高いと思っています」
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