NATOの「西・北」、カナダと北極圏は大丈夫か

Foresight World Watcher's 4 Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2025年9月28日
エリア: アジア 北米
NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)の防衛能力が懸念される[ポーランド・チョスノフスカで撃墜されたロシア製ドローン=2025年9月10日](C)Dariusz Stefaniuk/via REUTERS

 ロシアのNATO(北大西洋条約機構)加盟国に対する挑発行為が続いています。エストニアへの戦闘機の領空侵犯、ポーランド、ルーマニア、デンマーク、リトアニアへのドローン侵入がこの2週間ほど連続しており、ロシア・ウクライナ戦争への介入に対する牽制、レッドラインの瀬踏みと考えられます。

 これへのNATOの対応は各種報道に譲りますが、NATOの側の脆弱な要素が気になります。そこで見逃せないのはNATOの西側、つまり北米の態勢です。かつて欧州の「soft underbelly(柔らかい腹部=弱点)」といえばイタリアやバルカン半島を指しましたが、それは現在ではカナダだと米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌サイト掲載の論考は指摘します。

 東南アジアの“難しさ”を示す二つの論考(特にデフレ傾向の分析は、物価高に悩む日本の読者にとっては意外な論点ではないでしょうか)に加え、最後にピックアップしたのは、記者が著名人をランチに誘って取材経費の上限にチャンレンジたりメニューに御託を並べながらあれこれ訊くという英「フィナンシャル・タイムズ(FT)」紙の名物コーナー「Lunch with the FT」の1本です。

 お相手は非弾力的市場仮説を唱えるフランスの物理学者・経済学者にして仏ヘッジファンド「CFM」の会長を務めるジャン=フィリップ・ブショー。パッシブファンドからの資金流入が市場を押し上げ、それが貪欲な投資家からの更なる資金流入を招くというメカニズムを、ブショーは「バブルと呼ぶべきかどうかは分からない」と言っていますが、オルカンなりS&P500連動型なりの新NISAにお金を託している我々は読んでおいた方がよいと思われます。メカジキのステーキも美味しそう。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事4本、皆様もよろしければご一緒に。

Canada Is NATO's Soft Underbelly【Matthew J. Bondy/Foreign Policy/9月25日付】

「9月10日にロシアの無人機がポーランドの領空を侵犯したタイミングは、[ロシアとベラルーシによる]ザパド[西方]2025という軍事演習の直前だった。オランダとポーランドの戦闘機は、国境を越えた無人機を排除した。先週、ロシアは再びNATO[北大西洋条約機構]の国境に近づいた。ルーマニア当局は9月14日、自国上空でロシアの無人機を検知。その数日後にはNATOが迎撃に出動する前に、ロシアの戦闘機が一時的にエストニア領空に侵入したのだ」
「ロシアの最新の挑発行為に対してNATOは効果的に対応したが、このような事態にNATOが対応を躊躇するケースが出てくるかもしれない。もしロシアの行動がNATOの脆弱な下腹部の近くで発生した場合、そうしたロシアの行動に対処することができない可能性がある。つまり、カナダだ」

 米FP誌サイトに寄せた「カナダというNATOの脆弱点」(9月25日付)は、加マクドナルド・ローリエ研究所上席研究員のマシュー・J・ボンディーは、NATOへの米国の協力に万全の信頼が置けなくなった今、カナダの防衛がどのような状況にあるかを教えてくれる。

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