トランプ大統領の発言とアクション(11月13日~20日):エヌビディア好決算でもAIブームに懸念の「なぜ?」
決算発表直前、トランプ氏が3連続投稿
ドナルド・トランプ大統領は、米国株式市場の上昇を自らの政策成果として誇示する傾向がある。その発言はしばしば市場参加者の注目を集め、時に「買い場」のシグナルとして受け止められることも少なくない。
たとえば、2025年4月9日、大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」において、「今は米株の絶好の買い場だ!」と投稿。直後に相互関税の一部を90日間停止すると発表し、米株相場はこれを好感して上昇に転じた。さらに5月8日には「今こそ株を買うべき時だ」と再び発言。週末に開催された5月10〜11日の米中閣僚級協議を経て、関税率の大幅な引き下げで合意に至り、翌12日の米株相場は大幅高を迎えた。一連の発言は政策転換の“地ならし”として機能する反面、一部で市場誘導的との懸念ももたらし、批判が多いことも事実である。
こうした「市場との対話」は、トランプ氏の1期目にも見られた。2018年のクリスマス、株価が急落する中で記者団に対し「押し目買いの好機だ」と語り、実際にその直後の12月26日に市場は底打ちした。
半導体大手エヌビディアの決算発表が控えた11月19日には、同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)の発言を引用する形で、トランプ氏は3連続の投稿を行った。米国内での半導体生産の復活を印象づける狙いがあったのだろう。
世界中の投資家の注目を集めた同社の第3四半期(8〜10月)決算は、1株利益1.30ドル、売上高は前年比62%増の570億ドルと、そろって市場予想を上回る結果となった。さらに、11〜1月期の売上高見通しも約650億ドルと、予想の620億ドルを超え、人口知能(AI)半導体需要の力強さをみせつけた。フアン氏が10月、2025年から2026年に5000億ドル超のチップ受注を獲得したと発言したことも、改めて評価につながった。こうした流れを受け、トランプ氏のSNS投稿が、またしても株高に繋がるかと思われた。
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