トランプ大統領の発言とアクション(1月8日~14日):突飛な?「アフォーダビリティ対策」の実効性はいかに
NY市長選など4連敗の巻き返し
「私は負けっぷりのいい人間ではない、敗北が嫌いだ」──ドナルド・トランプ大統領が2020年7月に述べた言葉である。実際、同年11月3日の大統領選挙での敗北を認めたのは2021年1月7日と、65日を要した。
そのトランプ政権の2期目発足後、初めての主要選挙となる2025年11月のニュージャージー州知事選、バージニア州知事選、ニューヨーク市長選、さらに12月の“地元”フロリダ州マイアミ市長選で4連敗を喫した。これら前哨戦での敗北は、トランプ氏の政治的威信を揺るがしかねない事態となっている。
トランプ氏が1月6日、下院共和党議員との会合で「中間選挙で敗北すれば、私は野党民主党に弾劾されるだろう」と警告したことも、緊張感の高まりを示す。弾劾で有罪判決を得るには上院で3分の2、すなわち67人以上の賛成が必要であり、罷免に至る可能性は高くはない。それでも、弾劾裁判に発展すれば政権運営に確実に制約が生じ、政策遂行やレガシー形成にとって大きな障害となるのは避けられない。
トランプ氏はいま中間選挙という「審判の日」の敗北を阻むべく、「アフォーダビリティ(affordability)」、すなわち「生活費の負担軽減」を狙った政策を矢継ぎ早に繰り出している。2025年の4連敗の敗因こそ、この「アフォーダビリティ」問題とされた。この痛恨の敗北を糧に、トランプ氏は乾坤一擲の勝負に出ようとしている。
トランプ氏はまず、1月7日に機関投資家による一戸建て住宅購入を禁止する方針を表明し議会に法制化を求めた。同日には、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が関係者の話として、政権がベネズエラ国営石油会社 PDVSA を管理下に置き、原油の生産・販売に関与しつつ価格を1バレル50ドルへ誘導する構想を検討していると報道。トランプ氏は翌8日、ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)による住宅ローン担保証券2000億ドルの購入案を提示した。9日には、1年間にわたりクレジットカード金利上限を10%に引き下げる措置を発表。加えて同日は、米司法省が米連邦準備制度理事会(FRB)本部ビルの改修費用をめぐる議会証言に虚偽の疑いがあるとして、ジェローム・パウエル議長に召喚状を送付した【チャート1】。
機関投資家の住宅購入禁止が“効かない”とされる 3つの理由
機関投資家の戸建て住宅購入禁止と、クレジットカード金利に上限10%導入の措置は、民主党が重視してきた政策領域に踏み込む内容でもある。
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