トランプ大統領の発言とアクション(2月19~26日):IEEPA封印後に築くのは、より選別的で政治的な関税体系
最も影響を受ける国・地域はどこか
連邦最高裁判所が2月20日、 IEEPA(国際緊急経済権限法) を根拠とした関税措置を違法と判断した直後、ドナルド・トランプ大統領は1974年通商法 122 条を発動した【チャート1】。これを受け、税関・国境取締局(CBP)はグローバルに一律 10%の追加関税を導入。ジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表は2月25日のFOXビジネスで、「関税率は現時点では10%だが、一部の国に対しては15%、さらに他の国にはそれ以上の水準に引き上げられる可能性がある。従来の水準と整合的になるだろう」と言及した。
グリア氏の発言の核心は「継続性」だ。IEEPA の違法性が認定された以上、同じ税率を維持するには別の法的根拠が必要となる。グリア氏は122条の期限切れ後、不公正な貿易慣行に対して報復措置をとる1974年通商法301条への移行が中心になるとの方針を示し、調査を開始する意向を明らかにした。対象は、①過剰生産能力を構築する国、②サプライチェーンで強制労働を用いる国、③米国のテクノロジー企業を差別する国、④コメや水産物などの品目に補助金を与える国――と説明した。
グリア氏はまた、ブルームバーグTVとのインタビューで、追加関税について「適切と判断されれば上限まで引き上げる」と述べた。これはトランプ氏が2月21日に表明した方針に沿うものだ。さらに、過去1年間で十数カ国と結んだ貿易合意をについて、合意国は関税引き下げや非関税障壁の撤廃に応じてきたと説明。そのうえで、「301条に基づく調査を国ごとに実施する。問題行為を特定したうえで交渉し、必要であれば是正措置として関税を課す」と述べ、中国だけでなくベトナムなど東南アジア諸国、場合によっては欧州も対象になり得るとした。この発言の中に日本は含まれていないが、上記301条調査項目の「補助金」に該当する可能性は残る。
興味深いのは、中国の扱いである。IEEPA 関税では 20%の追加関税が課されていたが、122 条発動後は他国同様 10%に引き下げられた。グリア氏は3月31日〜4月2日のトランプ氏の訪中を前に「これまでの合意を堅持する」と述べ、融和的な姿勢を示した。中国商務省の報道官は「貿易相手国に課している一方的な関税措置を撤回するよう促す」と牽制しつつ、台湾問題や軍事対話と絡めて交渉余地を残している。IEEPA 違憲判決は、米中双方にとって「関税を外交カードとして再編する」契機となったと言えよう。
トランプ政権は、301条に加え、分野別関税を発動する1962年通商拡大法232条の活用も検討している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、この新たな関税は
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