「今週のトランプ」ラウンドアップ
「今週のトランプ」ラウンドアップ (51)

トランプ大統領の発言とアクション(3月13日~26日):米政治、湾岸経済、外交日程から見るイラン攻撃「停戦へのインセンティブ」

執筆者:安田佐和子 2026年3月28日
エリア: 北米
それで、ピート。最初に言い出したのは君だよな。君はこう言った。『やりましょう、奴らに核兵器を持たせるわけにはいかない』と、な」[2026年3月26日、アメリカ・テネシー州メンフィスでのイベントで、ピート・ヘグセス国防長官(左)と並ぶトランプ大統領](C)AFP=時事
トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した発言を、ストリート・インサイツ 代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。▼戦争権限法の「60日ルール」と州議会選挙の連戦連敗▼湾岸経済への打撃は「対米投資が細るリスク」に▼「英国王訪米」「大統領訪中」も停戦へのインセンティブに

 3月16日、イランの機雷敷設船をすべて破壊したにもかかわらず、なぜホルムズ海峡の航行は再開されないのかと問われたドナルド・トランプ大統領はこう述べた。「再開することは可能だが、タンゴは二人で踊るものだ(we could, but it takes two to tango.)」―― “It takes two to tango”とは、「双方の協力が不可欠」という意味の慣用句。イラン情勢は米国にとって、手詰まり感が増している。

 2月28日に始まった対イラン軍事作戦は、1カ月を経ても終結の見通しが立っていない。トランプ大統領は3月21日に「48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ発電所を攻撃する」と宣言したものの、23日には協議の進展を理由に攻撃の5日間停止を発表。さらに26日にはその措置を4月6日まで延長した。

 米国はパキスタン経由でイランに15項目の和平提案を提示したものの、イランは拒否し、逆にホルムズ海峡の主権承認を含む5条件を突き付けた【チャート1】。イランは米側特使への不信からJ・D・バンス副大統領との直接交渉を要求するほか、米国案への正式回答を“保留”し、攻撃を受けながらの対話は「容認できない」と主張。米軍の1万人増派の報道もあり、イラン側としてはカーグ島への地上部隊投入というレッドラインを踏まれる警戒も根強い。パキスタン・エジプト・トルコが仲介を競うが、その枠組みも定まらず、情報は錯綜している。

【チャート1:米国の15項目和平案とイランの5項目案】

戦争権限法の「60日ルール」と州議会選挙の連戦連敗

 トランプ政権は当初、作戦期間を「4〜6週間」と見積もっていたとされる。その背後には複合的な制約が横たわる。

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執筆者プロフィール
安田佐和子(やすださわこ) ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト 世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移し、金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事するかたわら、自身のブログ「My Big Apple NY」で現地ならではの情報も配信。2015年に帰国、三井物産戦略研究所にて北米経済担当の研究員、双日総合研究所で米国政治経済や経済安全保障などの上級主任/研究員を経て、株式会社ストリート・インサイツを設立。その他、トレーダムにて為替アンバサダー、計量サステナビリティ学機構にて第三者委員会委員、日本貴金属マーケット協会のフェローを務める。
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