消去法で選ばれたウクライナ新大統領の「資質」

執筆者:大木俊治 2010年3月号
エリア: ヨーロッパ

[キエフ発]東欧とロシアにはさまれた旧ソ連のウクライナで二月七日、次期大統領選挙の決選投票が行なわれ、親露派のビクトル・ヤヌコビッチ氏(五九)が当選を確実にした。二〇〇四年十二月の前回選挙では、当時のクチマ大統領や隣国ロシアの支援を受け、いったんは「当選」を宣言されながら、政権の不正投票を糾弾する市民の民主化運動「オレンジ革命」の前にやり直し選挙を迫られ、親欧米派のビクトル・ユーシェンコ現大統領(五五)に敗れた人物だ。 今回の相手は「オレンジ革命」でユーシェンコ氏を支え、美貌と扇動的な演説で名をはせた女性のイリヤ・ティモシェンコ首相(四九)。ヤヌコビッチ氏の大柄でいかつい風貌から「野獣と美女の対決」とも言われたが、「野獣」が「美女」を破り、五年前の雪辱を果たした。

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