8月23日、タイを訪問した岡田克也外相は、4月の赤シャツ騒動に巻き込まれて日本人カメラマンが斃れた現場に花を手向けた。一連の騒動が収まったとの判断があったからだろう。 タクシン元首相を支持する赤シャツ陣営の有力指導者は逮捕され、あるいは国外に逃亡し、現アピシット政権支持へと鞍替えする元赤シャツ派議員も現れた。事件後最初に行なわれたバンコク下院補欠選挙では与党民主党候補者が赤シャツ陣営幹部を破り当選している。赤シャツ陣営の拠点とされる北部や東北部などに出されていた非常事態宣言も徐々に解除される一方、外国人観光客が落ち込むわけでもなく、GDP(国内総生産)成長率も予想外に堅調だ。バンコクの繁華街を歩いても激しかった衝突がまるでウソであったかのような賑わいをみせる。 息を潜める赤シャツ陣営に対し、確かに現政権は優位に立ったようにも見える。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン