対ロ外交はやめられない? 鈴木宗男氏の“活動再開”

執筆者: 2001年9月号
エリア: ヨーロッパ アジア

 自民党の鈴木宗男前総務局長の肝煎りで、「北方領土返還促進根室市民会議」なる組織が八月末に結成され、鈴木氏の対ロ外交再開かと注目されている。鈴木氏は田中真紀子外相攻撃を批判されたあと、「対ロ政策など外務省への干渉は著しく減った」(外務省幹部)といわれていた。しかし、来年の小泉純一郎首相のロシア訪問が浮上する中、対ロ政策で主導権を狙っているとの見方が多い。 根室の結成大会には、道東の実力者ら約百五十人が参加。「一島でも二島でも早い返還を」という返還柔軟派の鈴木氏の支持母体となりそうだ。「四島」に固執し、鈴木氏の暗躍を糾弾していた末次一郎安全保障問題研究会代表が七月に死去したことで、鈴木氏の活動範囲が広がるとの観測も出ている。鈴木氏は外務省に「鈴木派官僚」を擁するのに加え、モスクワの在ロ日本大使館にも「鈴木派」を形成しているとの情報が新たに伝えられている。小泉首相は「四島返還が交渉の基礎」と公約しているが、七月の日ロ首脳会談では、「二島先行返還論」にも肯定的に言及し、一部専門家を驚かせた。鈴木氏は「二島先行論」を進めた森喜朗前首相と近く、森氏を通じて小泉首相に働き掛けるとみられる。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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