「危機」「対策」「改善」「慢心」。確かに日本は、偽りにして同工異曲の復活劇を飽きもせず繰り返してきた。今また、いつか見たカタルシスの風景が広がっている。経済はカンフル漬けになっているにすぎないのだが……。 日本は三月危機を、官民挙げた乗り切り策で何とかしのごうとしている。日経平均株価は八日、一時一万二千円台を回復し、売買高もバブル期並みに膨らんだ。一九九〇年のバブル崩壊後、繰り返されてきたデジャ・ビュ(既視感)を抱かせる光景である。その間、経済の体力は消耗し、危機の水位は確実に上昇している。改革政権としての基盤を喪失した小泉純一郎首相は、前任者たちの轍を踏むのだろうか。

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