対イラク軍事行動を視野に、米国経済には軍需の支えが続くだろう。米国頼みの日本にも景気回復期待が拡がっている。だが構造改革を放り出し、相手にとって「有事の備え」にもならない国が、楽観に浸ることなど許されようか――。 グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の警句、「根拠なき熱狂」を借りて言えば、日本経済に対する「根拠なき楽観」が政策当局や企業経営者の間で広がり始めた。一―三月期の実質成長率がプラスに転じただけで、デフレや不良債権、過剰債務など日本経済の根本問題を忘れてしまう健忘症の代償は高くつくに違いない。

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