GDP(国内総生産)の五%を占めるフィアット・グループの退潮は、単なる一自動車メーカーの没落を意味しない。そこには、メディオバンカとIRIという庇護者を失い、グローバル資本主義に直に晒されたイタリア経済の現状が色濃く反映されている。[ミラノ発]すっかり秋の気配が深まった九月二十日。イタリア北部の工業都市トリノで、ある美術館の除幕式が行なわれた。「ジョバンニ、マレッラ・アニェリ美術ギャラリー」。同国最大の民間企業フィアット・グループの総帥、ジョバンニ・アニェリ名誉会長(八一)とその妻マレッラが、個人コレクションの一部を寄贈して設立した美術館である。
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