ただ食糧が不足したり、難民が増えたりするだけではない。世界の様相がガラリと変わるほどの人口変動が刻々と現実化している。 昨年十二月に国連人口基金が発表した「世界人口白書」によれば、二〇五〇年には九十三億人(中位推計)に達する世界人口の中で、貧困状態に置かれる人々の数は何と五十四億人にも上るという。 人口問題は、数年の内に身近に激変をもたらす類のものではないだけに、世論をさほど喚起することもなく、国家の政策にも反映されにくい。しかし、「人口」は着実に膨らみ続け、やがて爆発する日を待っている。激増だけが問題ではない。急減、そして、国内や国家間で発生する不均衡によってもたらされる問題――。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top