中国や香港を中心に世界で猛威を振るう新型肺炎SARSに、米軍も警戒を強めている。イラク戦争で無敵ぶりを見せつけた米国だが、この敵には専守防衛しか手はないようだ。 米太平洋軍の報道官によると、米軍は中国本土と香港への渡航を個人的な旅行も含めて特別な許可がない限り禁止した。西太平洋などを担当海域とする第七艦隊も感染国・地域を中心に「不必要」な寄港を取りやめた。 米軍にとって特に気がかりなのは、米艦船の補修・給油のための定期寄港地で、米軍要員百二十人も常駐しているシンガポールだ。ここではすでにSARSで八人が死亡しており、感染がここから広がらないように米軍は特例として要員にマスクの着用も認めた。

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