革新的企業の代表格だったソニーも大企業病とは無縁でなかったらしい。出井伸之会長の掲げる強気の目標は、果たして達成可能なのか―― 四月二十四日、市場の引け後に二〇〇二年度(二〇〇三年三月期)のソニーの連結業績が発表されると、事前の予想を遥かに下回る内容を嫌気して、ソニー株は翌日から連日のストップ安を演じた。四月二十八日につけた直近の安値二千七百二十円は、IT株ブーム当時の六分の一の水準だ。三月決算企業の株主総会前にアヤ戻しを演じるバブル崩壊後の株式市場のパターンに乗じて、ソニーの株価も三千五百円前後まで戻してきたが、市場がソニーの戦略に全幅の信頼を寄せているとは言えない。

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