ストックオプション論争で“置き去り”にされる新興企業

執筆者:Foresight 2003年11月号
タグ: 中国
エリア: 北米

[シリコンバレー発]エンロン事件以降、米経済界を二分する論争の種になっている従業員向けストックオプション(SO、自社株購入権)。企業会計上、SO発行の推定コストを「人件費」の一部として決算に反映させるべきか否かを巡って、コスト反映を推進する会計士業界や一部連邦議員らと、無コスト扱いの現状維持を主張するハイテク業界が対立している。 現状維持派の論点は、「SOは世界から優秀な人材を引きつける有効な手段。コスト計上義務づけはこれを使いにくくし、米ハイテク産業の国際競争力を落とす」(インテルのクレイグ・バレット最高経営責任者=CEO)という産業政策論が一点。もう一つが、「一種の割り当て増資であるSOは損益計算書が反映すべき営業上の行為でなく、バランスシートと株数計算で処理すべき資本取引である」(シスコシステムズのデニス・パウエル最高財務責任者=CFO)という会計論である。

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