今年も一月二十一日から二十五日までの五日間、スイス東部の保養地ダボスでワールド・エコノミック・フォーラム(WEF)、通称「ダボス会議」が始まる。民間による運営にもかかわらず、現職の米国大統領など世界のトップ政治家が顔を見せることもあり、国際的なイベントとしてすっかり定着した。ところが開催地のスイスでは年々「歓迎」の声が小さくなり、むしろ「厄介モノ」扱いされ始めている。 この傾向は二〇〇一年九月の米同時テロ以降、決定的になった。欧州で最も安全な国といわれるスイスが、この会議のせいでテロの心配をしなければならなくなったからだ。実際、安全確保が難しいという理由で、二〇〇二年のダボス会議は急遽、開催地がニューヨークに移された経緯がある。

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