「一体君は諷刺画を画くつもりかい。それとも英雄物語を書くつもりかい。この二つは両立しない筈だがね」(三島由紀夫『青の時代』) * 四月二十一日、日本マクドナルドの創業者藤田田が亡くなった。享年七十八。新聞に訃報が掲載されたのは、その死から五日間が経過してからだった。「桜の花が散るように静かに退きたい」という本人の思いとは裏腹に毀誉褒貶の相半ばする人生だった。 デフレを読みこんだ徹底した価格破壊戦略と、マクドナルドの一万店宣言。突然のインフレ宣言と価格戦略の失敗。そして米国マクドナルド本社との確執と会長退任劇。

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