新年早々、米中関係が動いた。ゲーツ米国防長官が1月9日から訪中、胡錦濤国家主席らと会談し、米中国防対話を再開したのである。 胡主席との会談後、記者会見したゲーツ長官に対して、最初に出た質問は、中国が開発中の次世代ステルス戦闘機「殲20(J-20)」についてだった。殲20は会談の数時間前に初の飛行テスト(15分間)を行なっていた。 「飛行テストは長官の訪中にタイミングを合わせたと思うか」と聞かれ、長官は「私はそのことを直接胡主席に尋ねた」と答えた。 胡主席はこれに対し、飛行テストは以前から計画されていたものであり、長官の訪中とは絶対に関係がない、と答えたのだという。 しかし記者会見前に、匿名の米政府高官がウォールストリート・ジャーナル紙などに状況を説明していた。「(胡主席ら)文民の指導部は殲20飛行テストのことを知らされていなかったのは明らかだ」というのだ。 それでは、胡主席はどのようにして、飛行テストが以前から計画されていたことを知ったのか、という質問に対して、米政府高官は「外交儀礼」を理由に答えなかった。どうやら、会談に同席した中国人民解放軍の幹部が主席に駆け寄って、耳打ちしたらしい。 ということは、中国軍当局は意図的に、事前に国家主席に知らせず、飛行テストを行なったということになる。中国は軍部と文民の指導部の間に深い溝があるということだ。 「では長官は、中国の軍部は時には文民指導部の意向にかかわらず行動する、とみているのか」と米国人記者が尋ねた。 するとゲーツ長官は、そうした疑問を持っている、と認めた。「私は長い間、そのことについて懸念してきた。それが米中両国の文民と軍人を入れた対話を重視してきた理由の1つなのだ」
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