パラグアイの政変――米州関係の変化を照らす各国の対応

執筆者:遅野井茂雄 2012年7月2日
エリア: 中南米

「貧者の神父」としてパラグアイで初の左派政権を誕生させたフェルナンド・ルゴ大統領が、議会上院による弾劾決議を受けて6月22日に失職した。6月15日に起きた農場を不法占拠する農民と警察との衝突で、農民11名、警官6名が死亡した責任を主に問われる形で、前日の下院での手続き開始決定を受けて弾劾されたものだ。憲法に従い真正自由党のフェデリコ・フランコ副大統領が大統領に就任したが、大統領選挙を9カ月後に控えた内陸の小国パラグアイで起きた政変は、周辺諸国から「議会によるクーデター」と非難の声が上がり、新政権の承認問題に発展する事態となった。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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