民主主義は持続可能か(下)日本の政治がつまらない理由

渡辺靖(わたなべ・やすし)慶應義塾大学SFC教授。1967年生れ。専門は文化人類学、文化政策論、アメリカ研究。著書に『アフター・アメリカ―ボストニアンの軌跡と〈文化の政治学〉』(慶應義塾大学出版会、サントリー学芸賞)、『アメリカン・コミュニティ』(新潮社)、『文化と外交』(中公新書)などがある。
渡辺靖 日本は「お上信仰」といいますか、政府を頼る気持ちが強いですね。僕の学生たちに「ある国で識字率を上げたいとき、誰がやるべきですか」と聞くと、1人残らず「政府だ」と答えます。アメリカで同じ質問をしたら、政府だという人は半分くらいで、あとの半分は、ニーズがあるならビジネスとしてやっていけるんじゃないかというんです。それも1社が独占するのではなく、複数が競い合えば、競争原理が働いて回していけるようになるんじゃないかという意見が出てくる。 日本では、政治がひどい状況であっても、デモをしたり、自分たちで変えていこうとはあまりしてきませんでした。自分たちが苦労するより、まずは政府でしょうという発想が強い気がします。

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