それでもブッシュしかいないアメリカと世界の現実

第二期ブッシュ政権が対外政策を正しく変えるためには、世界の矛盾とジレンマを正しく理解する必要がある。それはとりも直さず、欧州や日本にも求められる認識にほかならない――。 ブッシュ大統領が再選されたことで、世界政治の一つの「定数」が定まったようにみえる。一体、その「定数」としてのブッシュ政権は、今後の世界情勢にどのような影響をあたえるのであろうか。これまでの四年間と同じパターンの対外行動をアメリカはとることになるのであろうか。 大統領選挙の結果は、選挙人の獲得数においても、総得票数においても、明確なブッシュ大統領の勝利であって、四年前のようなあいまいさはない。ブッシュ大統領は、アメリカ国民から明確な支持をうけたとみてよい。しかも、今回は議会選挙においても共和党は、上下両院で明確な過半数を獲得した。ブッシュ大統領としては、これまでの路線を踏襲するという姿勢をとったとしても何ら不思議のない選挙結果であった。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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